タイタンズを忘れない

タイタンズを忘れない 特別版 [DVD]
深夜に字幕放映していてなんとなく観たのだが、実に素晴らしい映画だった。普段映画じゃ泣かないのだが、グリーンマイル以来初めて泣いた。


1970年代のアメリカの黒人差別を舞台にしたアメフトの典型的なスポ根映画でハッキリ言って似たようなシチェーションは(フィクション、ノンフィクション問わなければ)いくらでもありそうなもの。…が題材がありふれていても上手に料理すると極上の一品になるという事を実に見事に体現している映画。最後は理屈を越える。


大きなテーマの1つの差別問題はチームメイトの対立から始まり最後はコーチ同士の和解で終わるのだが、その「対立→和解」というプロセスがチームにとってどのような影響を与えて、さらにその結果どうなったのかが実に丁寧に描き出されて、双方が分かり合いその結果チームが強くなっていく瞬間は過程が明快なので非常に心暖められ同時に爽快感も味わえる。


キャラも1人1人良く「キャラ立ち」していて、それぞれが色んな角度から対立し和解し支えあうので、様々な角度から全員がチームを支えそして強くしていっているという事が良く分かる。チーム競技の素晴らしさは個人ではなくチームそのものにあるというのを久々に教えられた。


肝心のアメフトシーンも素晴らしい。アメフトのルールなんてほとんどチンプンカンプンなのだが、ワケは分からないものの緊迫した様子は非常にストレートに伝わってき、上記の「対立→和解」という土台もプラスされ、思わず手に汗を握る。


さらに驚く事にこの映画はノンフィクション映画のようだ。正直度肝を抜かれた。普段ノンフィクションは「ノンフィクション」と認識して観なければ楽しめないと思っていたのだが、このジャンルに関してはそういう事は関係無さそうだ。それにしても事実は小説より奇なりとは良く言ったものだ。


現在は「8 Mile」というエミネム自伝の白人逆差別映画が公開されていたり形は変えても差別は相変わらず残っているようだ。そういう人間は「まずこの映画を見ろ。それから物を言え」そう言いたくなる一品。人の友情は美しい、最高にオススメです。