テイルズオブレジェンディア

プレイステーション2専用 テイルズオブレジェンディア メモリーカード8MB


率直に言うと期待ハズレ。形態としては従来のテイルズシリーズを踏襲してはいるものの何かが噛み合っていない。例えるなら見た目おにぎりなのに中身の具にスパゲティか何かが入っている感じ。ちなみにこのレビュー書く時点でのテイルズシリーズはディスティニー、ディスティニー2、エターニアシンフォニアをプレイ済み(中途半端という突っ込みは勘弁)。


その何かとはまず完全なポリゴンキャラ。序盤は違和感ありまくり…んで慣れてくれば愛着もそれなりに持ってて世界観ともイイ感じでマッチしているのだが、戦闘での見栄えが完全にダメ。非常にこまごまとした印象でテイルズシリーズの正統に進化していたスピード感と迫力を兼ねそろえた戦闘シーンを完全に退化させてしまった。またポリゴンキャラとは直接は関係無いのだが、戦闘の演出もダメダメ。不思議なほどに控えめな…ショボイ演出だった。また戦闘の話なのだが、操作が簡潔になりすぎ。はっきり言って技術介入はかなり減ってしまった感がある。ディスティニー2やエターニアのように出す必要は全く無いけどもバカみたいに格好良くてタイミングのシビアな技も盛り込んで欲しかった。戦闘の退化は「強いボスを設定する」レベルでは決して拭えない閉塞感である。実際、このゲームをプレイ中に爽快感を覚えた事はほぼ皆無だった。さらにダンジョンが単調になった。エンカウント率が上昇するというゾーン(視覚可能)の設定により宝箱の回収がほぼ一本道でできる事に。これはある意味嬉しい事なのだが、ダンジョンクリア後になんだかなぁ…という印象。さらに謎解き専用のパズルのステージを作る事によって謎解きとダンジョン攻略を完全に分離。「ダンジョンを進む→パズルを解く→ボス戦」という流れがほぼ全てのダンジョンで確立されてしまい回数を重ねる事にもうええやろ…という感じになってしまう(さらにパズルは自分で解く事を放棄し自動的にクリアする事も可能)。


全体的に「単調になった」この一言に尽きる。多分今回の作品は敷居を低くしようとしたのだろう。敷居を低くするのは結構、この素晴らしいシリーズの窓口が広がるのは喜ばしい事だ。しかし敷居を低くする事と単調にする事は違う。敷居を低くしつつもシリーズのファンを喜ばせる事もできたハズだ。戦闘にしてももう少し演出に力を入れるとか、ダンジョンも若干の謎解き要素を残しつつ、パズルの使いどころを変則にしてみるとか。


ただ唯一の救いはストーリーが良かった事。特に主人公のメインストーリーが終わるとサブキャラクターメインのストーリーが始まるという2部構成なのが良かった。毎回これをやられると少々キツイものがあると思うが、今回に限って言えば大成功だと思う。ストーリーが良かったと言ったが特に良かったのはサブキャラクターメインの第2部だった。一部感情移入できないキャラもいたが全体的に珠玉のエピソード揃いだった。これがこの作品の救いとなったと思う。


総括としては従来のシリーズのファンは納得できないと思う。新たにこのシリーズを始める人もこの単調さではどうかと思う。ただストーリーは引き込まれるものがあるので、それを堪能したい人向け。