五味隆典について思う事

20過ぎた今になっても「絶対」というものの1つは信じてみたいものです。


深夜放送の「PRIDE武士道」をたまたま見ていた時、メインでアゼレードというブラジル人選手をKOしたのを見て一気に彼の虜になってしまいました。


その試合は最近になって格闘技を見始めた僕にとっても、とても刺激的なものでした。他の試合とは明らかにレベル…いや次元が違いすぎるスピード感、それによって生まれる極度の緊張感。最初の数分を見た時は世界で一番のスピードを持った選手と錯覚してしまうかのような攻撃でアゼレードが五味を圧倒するのに眠気どころか心を奪われ、その数分後にはそのアゼレードを見事にKOする五味に神が降臨したかのような錯覚を覚えました。


その後も川尻、アゼレード(再戦)、マッハ速人と次々に撃破してPRIDEライト級の頂点に登りつめる五味は僕の「絶対」でした。しかし、先日アウレリオにいとも簡単に失神KO。僕の中の絶対が崩れていく瞬間でした。しかもその後のコメントが不味かった。


「少し休みたい」


五味の心が折れた瞬間でした。頂点を極めた者に残るのはただの孤独感。彼の心は折れてしまいました。天才であるが故の挫折。凡人である僕には永遠に到達できないものなのかもしれません。そんな理解できないところで負けてしまっている彼に少しの失望と若干の安心感を覚えました。完全な一本負けをした事で「絶対」が崩れ去りそうになり深い失望感が僕を覆いました。救いは彼が僕の理解できないところで負けてしまった事です。理解できるような負け方をされたら「絶対」が完全に崩れて消えてなくなります。しかし僕の理解できる部分では彼はまだ「絶対」なのです。心身共に充実している五味は「最強」であり、どんな相手にも負けるハズは無いのです。


ただ僕の求めていた「絶対」は2度と姿を現さないのかもしれないのです。何年か経った後に再びリングに立つ五味は僕の求めていた「絶対」では無いのかもしれません。彼に(できればすぐにでも)再起して欲しいという気持ちが大きい一方「絶対」を完全には崩さないでくれという気持ちも少なからずあります。


なんとも微妙な感情を抱いてはいますが、願わくば再び「絶対」がリングに上がってくれる事を一日でも早く望んでいます。