テイルズオブジアビス

テイルズ オブ ジ アビス


ある一点を除けばテイルズ10周年記念作品であると共に最高傑作である一品。


戦闘は「シンフォニア」を適度に進歩させた感じ。進んだ部分もあるが劣化した部分もあるワケで…(「劣化」という程のものでも無いが)。まず「FOF変化」という戦闘において重要な要素があるのだが、使いどころが非常に難しい。属性によって技が変化するというものなのだが、技と属性の組み合わせが膨大にあるので様々な試行をしなければならない。…のだが、そもそも「FOF変化」を狙って出せるという状況があまりにも少ない。終盤あたりからある程度狙って出す事ができるようになるのだが、逆に言えばそれまでは狙って出す事はほとんど無理。せっかく面白いシステムだったのに実際に戦闘(戦略)に与える影響は非常に少ない。ちと寂しい。もうちっと出しやすくする工夫が欲しかった。とはいえ他の部分の微妙な進歩があった事もあり、戦闘はかなり楽しい。イメージとしては「シンフォニア」に(良い意味で)毛が生えたものだと思ってもらって大丈夫。これからさらに進化しそうな余地はあるが現時点では良くも悪くもこれまでのテイルズシリーズの集大成と言っても過言では無い…と思う。


次に成長システムについてだが、これは結構キツイ。基本的にレベルをあげるとスキルポイントが加算されるシステムなのだが、レベルアップ時のスキルポイントの入手はそのときに装備している「キャパシティコア」に依存している。かなり単純化して説明すると、1ポイントしかスキルポイントがもらえない「キャパシティコア」が序盤は大半。しかし終盤になると10ポイントものポイントがもらえるものがゴロゴロしている。…となると上げれるレベルには上限があるので、序盤は我慢しておいて、できるだけ後半になってから一気にレベルをあげるのが一番効率が良い。…のだがこのゲームの敵はそれなりに強いので常時レベル上げをしていないとすぐに詰まってしまう。ので嫌々ながらレベルを上げる事になる。そこらへんは結構なジレンマ。…なのだが後半にやたら性能の良い「キャパシティコア」が落ちているお陰でなんとか相殺されている。…ように見えるのだが後半の「キャパシティコア」は見つけるのがやたら面倒くさい。ダンジョンの数が結構多いのにも関わらずそれなりにどれもそこそこ深い、謎解きは多い、にも関わらず前述した通り敵は結構強い。ここらへんを「やりがい」と感じるかどうかは個人差だと思うが、俺は面倒だったのでほとんどスルー。技の成長というのもあるが(至極面倒なので説明は省略)特に効果の大きさを感じなかったのでこちらもほとんどスルー。成長システムにはほとんど手を加えなかった記憶がある。ていうか「キャパシティコア」の成長システムは持ち越し可能で、序盤からガンガン育てられるようにした2週目用の仕様っぽいなーっと思ったり。だって1週目じゃなにがなにやらよく分からんもん、再振りないし…(あったらあったで困るが)。



そして肝心のストーリーなのだが、これが飛びぬけている!「レジェンディア」は「温かみ」に重点を置いたストーリーの頂点だったが、この作品は「面白さ」に重点を置いたストーリーの頂点だと思う。世界観なんか独特でクセがあるし、基本的にダークな話がほとんどを占めるので中々馴染みにくい人もいるにはいると思うんだけど(というか俺も最初はなんじゃこりゃっ、てな感じ)、そんな事を忘れさしてくれる物語全体的の圧倒的なパワー。もうね、映画やTVや小説でもほとんど泣く事なんかなくて、まして「ゲームで泣くなんて」っていう俺が電撃走りまくり。本気でちと泣きそうになった部分も多々アリ。中盤あたりからは正直このゲームやめれません。どうしても続き気になるもん。止め時が全くなくて「これから、どうなんの?どうなんの?」って感じが30時間以上続く感じ。これはある意味桃源郷。本当に最高。演出(ある意味で「レジェンディア」に欠けていた部分)も最高の出来でどうやったらここまで感動的で格好の良いゲームを作れんのか世界七不思議。テイルズシリーズは勿論今まででやったゲームの中でダントツのNO1。神の領域。






※ネタバレ※


シンフォニア」の項でも書いた事だけどラスボスが思想的に主人公サイドに全く屈服していないのも素晴らしい。それでいてあの優しさ…感涙モノ。演出も最終決戦開始時のあの敵役っぷりは素で格好良すぎ。エンディング直前のヒロインの吹き出しに無いセリフも非常に素晴らしい、正にゲームだからこそ出来た演出。細かいところでは爺さん婆さんがバタバタ殺されていくところもありきたりなシーンながら感動。そしてなにより主人公に「ダメな奴→ドンゾコまで落とされる→復活」という道のりを与える事により、完璧に1つの物語にしてしまったのも素晴らしい。「生きている」とさえ感じさせる主人公の物語。1人の主人公に1つの大きな物語を与える、これはありきたりなようでほとんど使用されていない手法だと思う。コロンブスに卵を立てられた感じ(ちと違うか)。その他にも挙げれば数え切れない程ある見所、どれも宝石のように輝いている。何回も言っているが本当に素晴らしい!…というより他に言葉が出てこない。


※ネタバレ終了※






…と素晴らしいを連呼しまくった俺だけど、どうしても見逃せない部分がある。それは「ロード時間」。グラフィック的には最近のゲームにしては中の下といったところなのにアホみたいに読み込む。これはねぇ…。ヒドイ時には部屋に入ったり出たりするだけで合計20秒を越える事が。いくらなんでもひどすぎる。戦闘システムや成長システムについてはびみょ〜に気に喰わない部分を指摘したに過ぎない、つまり欠陥らしい欠陥とは言えないのだがこのロード時間の問題はもう本当に致命的欠陥。


戦闘、成長システム、ストーリー。これだけ、つまり純粋なゲームの部分だけを見れば間違い無く、シリーズNO1。しかしロード時間の問題がそれを凄い勢いでマイナス方向に引っ張っている。総合的にはその一点により最高傑作とは言い難い出来に。


「多少のロード時間くらいプレステ時代で慣れている」という人や「我慢できる自信がある」という人は是非プレイを。敷居は全体的に低めなのでシリーズ未経験者も安心。ロード時間にさえ目をつぶれば間違い無くここ数年では頭1つ抜きん出たゲームです。


このクオリティでロード時間短いのなら1万円出しても俺は全然買うよ、どーよナムコさん完全版を発売するってーのは?