鳥人計画

鳥人計画 (角川文庫)

鳥人計画 (角川文庫)


最近東野圭吾さんの著作をむさぼり読んでます。広い視野を身につけるために色んな人の著作を読んだほうがいいのだろうけど、小説って値段の割りにどうしても買うとき慎重になってしまうんですよねぇ…。その理由は小説は読むのに結構時間がかかってしまってつまらない小説を読むと精神的に大きなダメージを受けるからかなぁ…っと。しかしつまらないゲームとかは全然平気なのにこれはなんでだろう…気楽に楽しめるかどうかって点が違うのかな。…っと前置きが長くなりましたが以下レビュー。ちなみにこの作品は僕的にハズレでした。


スキージャンプを扱った作品で、作品全体にそれに関する記述が出てきます。かといって専門知識が無いと読めないかというとそうでもなくスキージャンプに関して何にも知識が無くても楽しめます。「ジャンパーは遠くに飛ぶことを何よりの目標にしている」というこの作品の1つのテーマは地味ながらも魅力的であり「短距離選手はより速く走る事を」「水泳選手はより速く走る事を」などに置き換えて他のスポーツにも通じるものがあります。科学的なデータでそれを解明していく場面があるのですが結果は「遠くに飛ぶ方法は分かってもその原理は不明」というもので一見単純に見えるような競技でも未知の領域…ロマンがあって非常に素敵だと思いました。


ただこの小説、大筋は殺人が起きてそれを解明していくというものなんです。個人的にこの小説人を殺す必要があったのかなぁ…と。謎解き部分は二転三転して面白いと言えば面白いのですが登場人物が無駄に多くなりすぎてチラっとしか出てこなかった人物が突然再登場していきなり重要なポジションにつかれても当惑するものがあります。真相が真相なだけにほとんど無駄の無いキャラクターの配置が施されているのですが…これはなんとも。まぁこれはこの作品を読んでいる時、僕は集中力をやや欠いた状態でしたので僕が悪いだけなのかもしれませんが。


話を元に戻すと「如何に遠くに飛ぶか…」現代科学でも解明できない魅力的な謎とそれに挑むジャンパー達の苦悩などをもっと多く書いて欲しかったです。この作品が書かれたのはおよそ10年ほど前で(確か多分)、最近の東野圭吾さんなら人を殺さず(殺しても推理要素を出さず)ジャンパー達の心理などを深く掘り下げて面白いものを描かれると想像してしまい、そこが残念でした。


酷評している推理部分ですが二転三転してしっかり伏線も貼ってあるのでミステリ好きも満足できるものだと思います。ただ「遠くに飛ぶ」という魅力的な謎と変にぶつかり合ってしまい読後の感想がイマイチに思えたのだと思います。それに推理パートの結末は妙にひっかかるものですし。


今の東野圭吾さんならこのテーマをどう描くのだろうと考えずにいられない一冊でした。





久々にレビューを書いたらなんかグダグダに…。やっぱり定期的に書かないと駄目だなぁ。